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BLACK VELOCITY: What the City Leaves エピローグ 戻る場所
三か月の出向期間が終わった。 広報中枢塔の貸与権限が、順番に解除されていく。 公開記録管理。 市民向け通知編集。 映像構成履歴。 未使用素材管理。 判断過程登録。 画面上の権限一覧から、一つずつ公開情報局の項目が消えていく。 凪はそれを静かに見ていた。 寂しさとは少し違う。 だが、何も感じないわけでもなかった。 「赤嶺さん」 瀬尾が声をかけた。 「はい」 「…
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BLACK VELOCITY: What the City Leaves 最終話 残す側
公開イベントから三日が過ぎていた。 広報中枢塔は、いつもの静けさを取り戻している。 大型表示壁は通常運用に戻り、下層連絡路の案内表示も安定していた。 中央公開区域では、もう別の催事案内が流れている。 何も知らない来訪者が見れば、数日前にそこで人の流れが止まりかけたことなど分からない。 都市は早い。 止まった場所を直し、乱れた導線を戻し、次の予定へ進む。 それ…
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BLACK VELOCITY: What the City Leaves 第五話 止まった画面
公開イベント当日。 アークシティの中央公開区域には、朝から人が集まっていた。 一日公開証を持った来訪者。 外部視察団。 市民代表。 報道関係者。 アークドームを正面に見る広場には、大型表示壁が設置されている。 流れる予定の映像は、公開情報局が準備した紹介映像だった。 題名は、帰れる都市。 アークシティが、ただ美しいだけの都市ではなく、異常時にも生活導線を戻す…
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BLACK VELOCITY: What the City Leaves 第四話 残らなかった名前
広報中枢塔へ来て二週間が過ぎていた。 凪は追悼展示用の公開記録整理を担当していた。 第七区画事故追悼日。 中央公開区域に設置される小規模展示。 事故。 復旧。 再編。 制度改訂。 現在。 それらを限られた表示枠へ収める作業だった。 表示候補一覧を確認する。 公開記録。 監査承認済み資料。 教育用途資料。 判断履歴。 証言記録。 分類は細かい。 凪は証言記録を…
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BLACK VELOCITY: What the City Leaves 第三話 似合う言葉
広報中枢塔での勤務が始まって一週間。 凪の権限には、少しずつ新しい項目が追加されていた。 公開記録。 市民向け通知。 映像構成履歴。 未使用素材管理。 判断履歴参照。 都市観測解析室とは違う。 だが、まったく別の仕事にも見えなかった。 午前。 凪は外部視察向け資料の修正を担当していた。 題名は、異常時情報伝達と生活導線維持。 瀬尾が画面を確認する。 「ここで…
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BLACK VELOCITY: What the City Leaves 第二話 出さない理由
広報中枢塔での業務が始まって三日目。 凪は異常時情報伝達班の作業卓に座っていた。 目の前には、複数の記録画面が開いている。 過去の案内通知。 市民反応。 人流変化。 判断履歴。 公開情報局は、思っていた以上に解析室に近かった。 違うのは、見る対象だ。 解析室は異常の兆候を見る。 公開情報局は、その後に人へ渡す情報を見る。 「赤嶺さん」 公開情報管理官の瀬尾が…
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BLACK VELOCITY: What the City Leaves 第一話 見せる街
都市観測解析室は静かだった。 壁面には、アークシティ全域の人流分布が表示されている。 居住基盤区。 商業区。 中央公開区域。 エアロシャトル網。 下層連絡路。 赤嶺凪は、その中の小さな偏りを追っていた。 人が急に増えた場所。 表示切替が遅れた場所。 帰宅導線が詰まり始めた場所。 大きな異常になる前の揺れ。 それを見るのが、凪の仕事だった。 「赤嶺」 上司に呼…
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