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ARCHIVED ――崩れるものの上で、人はなお安らぎを探す―― 四人で読む、物語の奥行き① 方丈記  今回扱う作品の一言紹介 『方丈記』は、災害や都の変化を通して、住まいも暮らしも心も、同じ形では残らないことを見つめた随筆です。 作者は鴨長明。 鎌倉時代前期に書かれた、短いけれど深い古典です。 有名な書き出しでは、川の流れと水の泡を手がかりに、世の中の移り変わりが語られます。 川は流れ続けているように見える。 けれど、そこを流れる水は、同じものではありません… m45010b8dac3f四人で読む、物語の奥行き サイト内で読む
ARCHIVED THE OBSERVER         第6話 並ぶ その光は、最後まで何もしなかった。 数ヶ月が過ぎた。 白峰市は、以前よりさらに静かな街になっていた。 事故は減った。 怒鳴り声は減った。 会議は短くなり、結論は早く出るようになった。 FLOWは、今では特別なものではない。 強制ではない。 それでも、多くの人が自然に選んでいる。 便利だから。 楽だから。 穏やかでいられるから。 それは、間違いではなかった。 … THE OBSERVER サイト内で読む
ARCHIVED THE OBSERVER         第5話 観察される自由 名前をつけた瞬間に、人は少し安心してしまう。 黒崎玲は、空の白い光に名前をつけなかった。 UFOとも言わない。 宇宙人とも言わない。 神とも言わない。 ただ、光。 それ以上でも、それ以下でもない。 中央区の会議室は、今日も静かだった。 資料は整理され、意見は要点だけが残り、 言葉は最短距離で交わされる。 白峰市は整ってきている。 事故は減り、衝突は減り、結論… THE OBSERVER サイト内で読む
ARCHIVED THE OBSERVER         第4話 見捨てない 整うことは、間違いではなかった。 夜は、前よりよく眠れる。 紫藤澪は、それを素直に良いことだと思っている。 以前は違った。 配信を終えたあとも頭の中のざわつきが消えず、 誰かの何気ない一言が長く残り、 眠る直前までコメント欄を見返してしまうこともあった。 今は、そこまで引きずらない。 FLOWは感情を消すわけではない。 悲しいときは悲しいし、腹が立つときは立… THE OBSERVER サイト内で読む
ARCHIVED THE OBSERVER         第3話 干渉しない その光は、助けなかった。 夕方の交差点だった。 雨はもう止んでいたが、路面にはまだ薄く水が残っている。 白峰市では珍しくもない、少し滑りやすい夕暮れだった。 信号が変わる。 歩行者が動き出す。 車が進む。 その一瞬だけ、いくつかの判断が重なった。 右折しようとした車。 横断歩道に踏み出した人。 確認が、ほんの少し遅れる。 ブレーキ音がした。 短く、鋭く。 空… THE OBSERVER サイト内で読む
ARCHIVED THE OBSERVER         第2話 記録される街 その光は、騒がれなかった。 一般に確認できる記録として最初に残ったのは、夜景を撮った短い投稿だった。 中央区のビル群の上に、白い点が映っていた。 深夜二時十七分。 三秒ほど。 飛行機ではない。 ドローンでもない。 レンズの反射とも少し違う。 ただ、高い位置に、白い光があった。 同じ時刻、中央区の定点カメラにも似た光が残っていたらしい。 ただし、その映像が外へ… THE OBSERVER サイト内で読む
ARCHIVED THE OBSERVER         第1話 浮いていた日 その光は、何もしなかった。 少なくとも、誰かを傷つけたわけではない。 何かを壊したわけでもない。 それとは別に、街は少しずつ整っていた。 事故は減った。 怒鳴り声も減った。 会議は短くなり、結論は早く出る。 それは、良いことだった。 白峰市は、以前より静かな街になっていた。 感情安定・行動補助アプリ「FLOW」は、今では珍しいものではない。 強制ではない。 … THE OBSERVER サイト内で読む
ARCHIVED アークシティ観光案内 ようこそ、アークシティへ。 上から見れば整った未来都市。けれど、降りて歩くと、この街は少し違って見えてきます。 今回は黒崎玲と紫藤澪の二人に、この街を案内してもらいます。 澪「ようこそ、アークシティへ。今日は私たちが案内するね」 玲「黒崎玲です。少し歩きますが、その分、この街の輪郭はよく見えるはずです」 澪「私は紫藤澪。玲は街の骨組みを見るのが得意で、私はそ… アークシティ短編集 サイト内で読む
ARCHIVED BLACK VELOCITY: Civil Threshold 最終話 揺らぎを背負う 街の隔離が解かれる。 澪の指が、最後のキーを押した。 止められていた流れが、ゆっくりと戻り始める。 閉じられていた道がひらき、人の移動が再開する。 街は再び、人の気配を取り戻していった。 同時に、都市演算の揺れが走る。 制御の再編を示す警告が、管理ホールの各所に点った。 仁が低く言う。 「お前は都市を危険にした」 玲はスクリーンの向こうに広がる街を見つめたま… Civil Threshold サイト内で読む
ARCHIVED BLACK VELOCITY: Civil Threshold 第7話 制限の街で、誰を守るのか 港湾区からネオン地区にかけて、人の流れが少しずつ外へ押し出されていく。 事故を防ぐための制限は、やがて暮らしそのものの形を変えはじめる。 そのとき問われるのは、都市を守ることと、人を消さないことが本当に両立できるのか、という一点だった。 澪が言う。 「これ、隔離に近い」 仁は答える。 「危険を削っている」 玲はスクリーンに映る街を見ていた。 そこには無数の生… Civil Threshold サイト内で読む
ARCHIVED BLACK VELOCITY: Civil Threshold 第6話 都市は誰を守るのか 異常は、静かに始まった。 都市の表示は安定を示している。 だが、実際の運用ラインは、目に見えないほどわずかに歪んでいた。 澪が言う。 「調整が早すぎる」 玲は画面を見つめたまま、低く返す。 「都市が、先に決めている」 その直後、警告音が走った。 交通。電力。通信。 あらゆる流れが、示し合わせたように変わっていく。 仁が言った。 「都市は守る」 玲は静かに問う… Civil Threshold サイト内で読む
ARCHIVED BLACK VELOCITY: Civil Threshold 第5話 一つの都市に、三つの正しさ 仁は、第七区画のことを詳しく語らない。 語れば、切り離したはずの時間が、自分の中でまた動き出すからだ。 それでも、彼の結論だけは変わらない。 「削る」 玲は受け止めるように言う。 「背負う」 澪は二人のあいだで、その言葉を聞いていた。 制度でも理念でもなく、壊れた現場に触れてきた者の位置から。 「ねえ。都市を守るって、何を守ること?」 仁は答える。 「存続だ… Civil Threshold サイト内で読む
ARCHIVED BLACK VELOCITY: Civil Threshold 第4話 境界は誰が決めるのか 都市は、すべてを安全にはできない。 だから境界を置く。 問題は、その境界が誰のためのものなのかだった。 重力炉管理ホールで、仁が権限を通した。 閉じられていた深層ログの一部が、静かに開く。 澪は息を呑んだ。 画面に浮かんでいたのは、単なる運用記録ではない。 都市の判断を支える、ひとつの概念だった。 境界。 都市は、あらゆる危険をゼロにはできない。 だから、ど… Civil Threshold サイト内で読む
ARCHIVED BLACK VELOCITY: Civil Threshold 第3話 記録が綺麗すぎる夜 港湾区で、澪は違和感を拾った。 交換されたはずの部品が、交換されたように見える痕跡だけを残して、不自然に収まっていた。 作業ログは揃っている。 だが、現物だけが別のことを語っている。 「記録が綺麗すぎる」 澪はつぶやいた。 現場は、こんなふうに綺麗にはならない。 人が触れば、必ず少し汚れる。 少し迷う。 少し手間取る。 そこに現実が残る。 なのに、ここには人… Civil Threshold サイト内で読む
ARCHIVED BLACK VELOCITY: Civil Threshold 第2話 第七区画は、まだ終わっていない 地下は静かだった。 静かすぎて、ここでは人の痛みまで記録に変わってしまいそうだった。 重力炉管理ホールの前で、二人を待っていた男がいる。 火守仁。 基幹評議会管轄、危険区画対策室の上級執行調整官。 背筋はまっすぐで、動きに無駄がない。 そこに立っているだけで、これ以上は進ませない、と言っているようだった。 「監査官」 低い声が、玲に向けられる。 敬意でもあり… Civil Threshold サイト内で読む
ARCHIVED BLACK VELOCITY: Civil Threshold 第1話 壊れるときは、静かだ 壊れるときは、静かだ。 アークシティは今夜も整っていた。 整いすぎていて、その奥に残ったごく小さな揺れだけが、かえって沈んで見えた。 黒崎玲は、それを見落とさなかった。 港湾区の灯りが海面に落ち、空中レーンをエアロシャトルが規則正しく流れていく。 都市は静かで、正確で、乱れがない。 アークシティの夜は、いつ見ても美しい。 無駄を削ぎ落とし、迷いさえ吸い込むよ… Civil Threshold サイト内で読む
ARCHIVED 0)BLACK VELOCITY: Civil Threshold 都市が人を守るのか。 それとも、人を守るために都市があるのか。 『BLACK VELOCITY: Civil Threshold』は、 その見えない境界を描く物語です。 アークシティは、 事故を限りなく減らすために設計された実験都市です。 海沿いに築かれた巨大な街では、 交通、エネルギー、物流、通信といった都市の根幹が、 統合されたシステムによって静かに管理… Civil Threshold サイト内で読む
ARCHIVED BLACK VELOCITY: Fluctuation アークシティは、完璧に近い都市だった。 事故も無駄も減らすために、あらゆる判断が静かに整えられている。 信号は正確だ。 人の流れは滑らかだ。 高架道路を走る車列は、線を引いたように乱れない。 誰かが困る前に調整される。 事故になる前に修正される。 それはたしかに、ひとつの理想だった。 けれど、その正しさが行き届きすぎたとき、街は少しずつ別のものも削っていく。… SHADOW & NEON サイト内で読む