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THE OBSERVER 第6話 並ぶ
その光は、最後まで何もしなかった。 数ヶ月が過ぎた。 白峰市は、以前よりさらに静かな街になっていた。 事故は減った。 怒鳴り声は減った。 会議は短くなり、結論は早く出るようになった。 FLOWは、今では特別なものではない。 強制ではない。 それでも、多くの人が自然に選んでいる。 便利だから。 楽だから。 穏やかでいられるから。 それは、間違いではなかった。 …
THE OBSERVER
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THE OBSERVER 第5話 観察される自由
名前をつけた瞬間に、人は少し安心してしまう。 黒崎玲は、空の白い光に名前をつけなかった。 UFOとも言わない。 宇宙人とも言わない。 神とも言わない。 ただ、光。 それ以上でも、それ以下でもない。 中央区の会議室は、今日も静かだった。 資料は整理され、意見は要点だけが残り、 言葉は最短距離で交わされる。 白峰市は整ってきている。 事故は減り、衝突は減り、結論…
THE OBSERVER
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THE OBSERVER 第4話 見捨てない
整うことは、間違いではなかった。 夜は、前よりよく眠れる。 紫藤澪は、それを素直に良いことだと思っている。 以前は違った。 配信を終えたあとも頭の中のざわつきが消えず、 誰かの何気ない一言が長く残り、 眠る直前までコメント欄を見返してしまうこともあった。 今は、そこまで引きずらない。 FLOWは感情を消すわけではない。 悲しいときは悲しいし、腹が立つときは立…
THE OBSERVER
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THE OBSERVER 第3話 干渉しない
その光は、助けなかった。 夕方の交差点だった。 雨はもう止んでいたが、路面にはまだ薄く水が残っている。 白峰市では珍しくもない、少し滑りやすい夕暮れだった。 信号が変わる。 歩行者が動き出す。 車が進む。 その一瞬だけ、いくつかの判断が重なった。 右折しようとした車。 横断歩道に踏み出した人。 確認が、ほんの少し遅れる。 ブレーキ音がした。 短く、鋭く。 空…
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THE OBSERVER 第2話 記録される街
その光は、騒がれなかった。 一般に確認できる記録として最初に残ったのは、夜景を撮った短い投稿だった。 中央区のビル群の上に、白い点が映っていた。 深夜二時十七分。 三秒ほど。 飛行機ではない。 ドローンでもない。 レンズの反射とも少し違う。 ただ、高い位置に、白い光があった。 同じ時刻、中央区の定点カメラにも似た光が残っていたらしい。 ただし、その映像が外へ…
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THE OBSERVER 第1話 浮いていた日
その光は、何もしなかった。 少なくとも、誰かを傷つけたわけではない。 何かを壊したわけでもない。 それとは別に、街は少しずつ整っていた。 事故は減った。 怒鳴り声も減った。 会議は短くなり、結論は早く出る。 それは、良いことだった。 白峰市は、以前より静かな街になっていた。 感情安定・行動補助アプリ「FLOW」は、今では珍しいものではない。 強制ではない。 …
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