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アーカイブカテゴリ: 現実のニュースをアークシティに

現実のニュースが投げかける問いを、独立実験都市アークシティの物語へ。 制度、技術、暮らし、情報、判断――出来事の表面ではなく、その奥にある「問題の構造」を抽出し、黒崎玲・紫藤澪・赤嶺凪・火守仁のうち、話題に最もふさわしい人物の視点から一話完結の短編として描きます。 現実をそのままなぞらず、別の街だからこそ見える形へ。各作品には、着想となったニュースと参照資料も掲載します。

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WORLD 値札の外の席――巨額で売買されるクラブの「地域への責任」は、誰が引き継ぐのか|現実のニュースをアークシティに 市民競技場の低層には、一般席より安い「地域席」がある。 競技場が市の土地と公共設備を使う代わりに、近隣住民が通い続けられる席を残す。それが長年の約束だった。 その朝、黒崎玲は、地域席を利用する女性と新しい座席まで歩いていた。 女性は杖をつき… 読む WORLD 待つ時間の色――自由な働き方を守りながら、見えない時間をどう数えるか|現実のニュースをアークシティに 生活物資センターの裏側に、配送員の待機帯がある。 壁際の長椅子。飲料供給機。配送バッグを収める低い棚。 朝の配送が一巡したころ、五人の配送員がそこで次の依頼を待っていた。 けれど、赤嶺凪の解析端末には、こう表示されている。 ――現在の稼働者… 読む WORLD 日陰を移す――猛暑と渇水の街で、限られた冷却を誰へ届けるか|現実のニュースをアークシティに 都市の暑熱対策図では、第五生活区の冷却導線は青くつながっていた。 居住棟から診療所、生活物資センター、エアロシャトル乗り場まで。人は日陰と冷却床をたどり、強い日差しを避けて移動できることになっている。 紫藤澪が現場で見た青い線は、乗り場の百… 読む WORLD 終わりのある画面――投稿ではなく、閉じにくくする設計を問う|現実のニュースをアークシティに 午前一時を過ぎても、市民共有層の画面は終わらなかった。 学校からのお知らせ。友人が投稿した短い映像。地域イベントの案内。人気の料理。昨日見た映像に似た別の映像。 指で送るたび、次が現れる。 新しい投稿が尽きると、過去の投稿が順番を変えて戻っ… 読む WORLD 鍵だけを止める――なりすまし攻撃のあとで、人まで失効させない判断|現実のニュースをアークシティに 午前交代の十五分前、外縁危険物保管区の入域ゲートが赤へ変わった。 夜勤者を外へ出す退域口は開いている。だが、これから点検に入る昼勤者の作業員証は、すべて拒まれていた。 前夜、保守事業者の現場監督たちへ、認証管理室を名乗る音声連絡が入った。… 読む WORLD 昼を選べない人――再生可能エネルギーを使える暮らし、使えない暮らし|現実のニュースをアークシティに 食品処理棟の夜勤を終えた女性が住居棟へ戻ると、端末に通知が届いた。 〈正午の電力利用にご協力ください〉 洗濯、給湯、蓄電、車両の充電。普段は朝や夜に行うことを昼へ移せば、生活支援の還元を受けられる。 女性は短く答えた。 〈この時間は休んでい… 読む WORLD 脈のない区画|現実のニュースをアークシティへ 夜のアークシティは、アークドームを中心に、幾重もの光を外縁へ送り続けていた。 黒銀色の外殻を走る青白い制御発光。環状基盤を巡るエアロシャトル。居住基盤区へ枝分かれしていく生活灯。 都市観測解析室の画面では、それらが時間ごとの変化として重ねら… 読む WORLD 消す灯、残す冷気|現実のニュースをアークシティへ 午後四時、アークシティの電力予備率が、警戒線のすぐ上まで下がった。 故障ではない。 記録的な高温が何日も続き、外周熱交換水路の水量が減っていた。重力炉そのものは安定しているが、都市へ電力を渡す周辺設備は、排熱能力に合わせて出力を落としている… 読む WORLD 一度だけ咲く|現実のニュースをアークシティへ 北側生態試験区の更新期限まで、あと六時間だった。 黒い人工岩盤を区切る二十四の試験床では、作業員が識別灯を外している。明朝には古い植生が回収され、次期試験用の種子と培地へ入れ替わる予定だった。 赤嶺凪が呼ばれたのは、更新を止めるためではない… 読む WORLD 二本目の案内線|現実のニュースをアークシティへ 最終競技が終わって三時間後、会場前の高架歩廊では、撤収作業が始まっていた。 大型表示から競技映像が消え、仮設の案内板が一枚ずつ外されていく。遠くでは、深夜便のエアロシャトルが青白い光を引いていた。 紫藤澪が呼ばれたのは、競技祭で使用した臨時… 読む