OFFICIAL ARCHIVE / BLACK VELOCITY
アーカイブカテゴリ: 現実のニュースをアークシティに
現実のニュースが投げかける問いを、独立実験都市アークシティの物語へ。 制度、技術、暮らし、情報、判断――出来事の表面ではなく、その奥にある「問題の構造」を抽出し、黒崎玲・紫藤澪・赤嶺凪・火守仁のうち、話題に最もふさわしい人物の視点から一話完結の短編として描きます。 現実をそのままなぞらず、別の街だからこそ見える形へ。各作品には、着想となったニュースと参照資料も掲載します。
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電気が余っても、家まで届くとは限らない|現実のニュースをアークシティに
都市観測解析室の画面には、緑色の文字が出ていた。 「供給余力あり」 新しい発電設備が動き始め、アークシティが作れる電気は大きく増えた。最も多く使う時間帯でも、発電できる量が都市全体の需要予測を上回っている。 その表示だけを見れば、電力不足は…
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試験船が着いても、医療品はまだ載せない|現実のニュースをアークシティに
試験船は、北側の海を通る新航路で目的地へ着いた。 予定より二日遅れたが、従来の航路より九日早い。積んでいた交換部品にも損傷はなかった。 物流担当者は、すぐに次の計画を提出した。 次の船から新航路を定期便として使い、医療設備の消耗材や住宅設備…
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帰る前の十五分にも、賃金はある|現実のニュースをアークシティに
行政監査区の連絡通路で、夜勤を終えた作業員たちが認証端末へ手首をかざしていた。 勤務終了の表示は午前六時。 だが、作業員はすぐには帰らない。工具を戻し、次の班へ設備の状態を伝え、防護具を点検してから更衣室へ向かう。 毎日十五分ほどかかる仕事…
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支援金が決まっても、工場は動かせない|現実のニュースをアークシティに
アークシティでは、交換用の蓄電池が不足し始めていた。 エアロシャトルや医療設備に必要な分は確保されている。後回しにされているのは、低速公共EV、住宅の共用蓄電池、夜間の補助照明だった。 すぐに止まる設備ではない。 だが、交換の延期が続けば、…
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その「最安」は、最後まで最安か|現実のニュースをアークシティに
アークドームの共用フロアに、作業資格の更新講習を予約する端末があった。 画面には、十二の講習が安い順に並んでいる。 一番上は二千八百クレジット。 二番目は三千百クレジット。 作業服姿の女性は、一番上の講習を選んだ。 日付を決め、名前と登録番…
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安全対策は、いつ終わらせるのか|現実のニュースをアークシティに
午前五時二十分。アークドームの搬入口には、十二台の搬送車が並んでいた。 天井灯の白さが、濡れた床に細長く伸びている。先頭の車両からは医薬品の保冷箱が降ろされ、その後ろには野菜、交換部品、建材が続く。運転手たちは端末を握ったまま、少しずつ前へ…
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全体が伸びても、暮らしが伸びたとは限らない|現実のニュースをアークシティに
午前七時二十分。公開前の報告書が、赤嶺凪の端末に三行で表示されていた。 都市活動総量――増加。 生活向け取引――ほぼ横ばい。 設備更新への支出――減少。 床を磨く機械の低い音が、集計室の外をゆっくり通り過ぎる。凪は一行目から三行目まで視線を…
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最後に名前が出る人|現実のニュースをアークシティに
夜九時四十分。 外縁搬入区から来たエアロシャトルが、アークレールの乗換口へ着いた。 作業服姿の乗客たちは、到着表示を確かめてから改札へ向かう。走る人はいない。次の列車まで、まだ八分ある。 以前なら、ここで二十六分待っていた。 シャトルとアー…
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順位の使い道|現実のニュースをアークシティに
黒崎玲が研究棟へ着いたのは、夜の実習が終わる時刻だった。 白い作業灯の下で、受講者たちが市の共同分析装置から試料を取り外している。 昼間は設備保守の現場で働き、仕事を終えてから材料の劣化や破損原因を学ぶ人たちだった。 「次の期も、この実習は…
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今ある路線を先に直す――限られた公共投資を、何に振り向けるのか|現実のニュースをアークシティに
行政監査区の午後。 黒崎玲の端末には、アークシティの交通計画が表示されていた。 その中に、灰色になった一本の線がある。 居住基盤区の外縁部まで、新しくエアロシャトルを走らせる計画だった。 だが、その計画はいったん見送られることになった。 新…
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