OFFICIAL ARCHIVE / BLACK VELOCITY

アーカイブカテゴリ: 現実のニュースをアークシティに

現実のニュースが投げかける問いを、独立実験都市アークシティの物語へ。 制度、技術、暮らし、情報、判断――出来事の表面ではなく、その奥にある「問題の構造」を抽出し、黒崎玲・紫藤澪・赤嶺凪・火守仁のうち、話題に最もふさわしい人物の視点から一話完結の短編として描きます。 現実をそのままなぞらず、別の街だからこそ見える形へ。各作品には、着想となったニュースと参照資料も掲載します。

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WORLD 収穫機を止めた夕方|現実のニュースをアークシティに 赤嶺凪は仕事の帰りに、アークドーム外縁部の農業区画へ立ち寄った。 そこには、都市で消費される野菜を育てる栽培棟が並んでいる。光、水、養分は自動で調整され、収穫まで機械が行う。 凪が来たのは、注文していた野菜を受け取るためだった。 受取所へ向… 読む WORLD 祭りの光を、ゴミにしない|現実のニュースをアークシティに 午後九時、火守仁はアークシティ中央駅前広場にいた。 広場では、秋の催しが終わったところだった。 ステージの照明が消え、帰宅する人々が駅へ向かっている。仁は、広場を通常の通路へ戻す前に、避難経路へ障害物が残っていないか確認するために来ていた。… 読む WORLD 三つの映画が、同じ出口へ出てきた|現実のニュースをアークシティに 中央映像館の三つの扉が、ほとんど同時に開いた。 最初の扉から、光る記念バンドを腕に巻いた親子が出てくる。上映されていたのは、長く続く冒険アニメの新作だった。 隣の扉からは、若い観客が大声で結末を話しながら出てきた。こちらは、無名の制作班が作… 読む WORLD 自動扉が止まったあと、小さな工房の部品が残った|現実のニュースをアークシティに 訓練用の白い煙が、閉鎖された連絡通路へ流れ込んだ。 火守仁は、救助訓練用の人形を両腕で抱えていた。 正面には避難扉がある。 通常なら、人が近づいて取っ手を握る必要はない。 都市の避難管制が安全な経路を選び、その経路にある扉を自動で開く。中央… 読む WORLD 引き継いだ席で、同じ順番を選ばなかった|現実のニュースをアークシティに 黒崎玲は、十八か月続けてきた契約監査を、次の担当者へ引き継ごうとしていた。 監査対象は、居住区画の設備を保守する事業者との契約である。契約期間はまだ残っているが、監査担当者だけが定期交代する。 完成した仕事を渡すのではない。 途中まで調べた… 読む WORLD 貸し出した壁に、別の歴史が来た|現実のニュースをアークシティに 火守仁がアークドームの連絡通路へ入ると、いつもの壁画がなくなっていた。 建設初期のアークシティを描いた、横に長い陶板画だった。 輸送路を組み立てる人。居住区画へ最初の灯りを入れる人。外縁部から資材を運ぶ車両。 仁は仕事の行き帰りに何度も見て… 読む WORLD 受賞記録から、夜の実証が抜けていた|現実のニュースをアークシティに アークシティは、濡れた床でも滑りにくい表面処理技術を表彰する予定だった。 技術を開発したのは、都市研究区から独立した小さな事業者である。床材へ薄い膜を作り、清掃後に水分が残っていても靴を滑りにくくする。 基礎技術を作った研究室と、製品として… 読む WORLD 街を止めずに、地下を作り直す|現実のニュースをアークシティに 中央生活区を南北に貫く大通りの地下には、古い送水幹線が通っていた。 集合住宅、診療所、共同調理所、市場の冷却設備へ水を送る太い管である。 点検で内壁の劣化が確認され、更新時期を迎えていた。 漏水も断水も起きていない。 壊れてから直すのではな… 読む WORLD 同じ緑の印でも、数字の意味は違う|現実のニュースをアークシティに アークシティは、アークドーム外装の定期更新を計画していた。 交換するのは、都市を覆う半透明の装甲パネルの一部だ。数万枚を使う大規模な工事で、選んだ素材は今後何十年もの保全費用と炭素排出量に影響する。 候補には、三社の新しい外装材が残っていた… 読む WORLD 顔だけで十六歳を決めない|現実のニュースをアークシティに アークシティは、十六歳未満による交流サービスの利用を制限する方針を検討していた。 有害な投稿、長時間の利用、知らない相手からの接触を減らすことが目的だった。 利用を止めるには、サービスの運営会社が一人ひとりの年齢を確認しなければならない。… 読む