OFFICIAL ARCHIVE / BLACK VELOCITY
アーカイブカテゴリ: 現実のニュースをアークシティに
現実のニュースが投げかける問いを、独立実験都市アークシティの物語へ。 制度、技術、暮らし、情報、判断――出来事の表面ではなく、その奥にある「問題の構造」を抽出し、黒崎玲・紫藤澪・赤嶺凪・火守仁のうち、話題に最もふさわしい人物の視点から一話完結の短編として描きます。 現実をそのままなぞらず、別の街だからこそ見える形へ。各作品には、着想となったニュースと参照資料も掲載します。
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アカウントの外側|現実のニュースをアークシティへ
学校支援端末から届いた相談は、四行に整理されていた。 〈私のアカウントは閉じられました〉 〈同級生から送られた公開映像は、ログインしなくても見られました〉 〈そこに私が映っていました〉 〈消してほしかったけれど、相談ボタンがありませんでした…
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一色の予報|現実のニュースをアークシティへ
公開前の季節予報では、アークシティ全域が同じ橙色に塗られていた。 表示名は〈高温・少雨傾向〉。 その下には、八月から十月までの生活上の注意が並んでいる。冷却設備の早期点検、屋外活動時間の短縮、給水使用量の見直し。 どれも、計算上の根拠はあっ…
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閉じる場所を変える|現実のニュースをアークシティへ
黒崎玲の端末では、一本の生活通路が〈代替可能〉と表示されていた。 現地では、その通路は半年間、黒銀色の仮設壁に塞がれている。 アークシティ第五区画では、都市と民間事業者が共同で〈広域演算棟〉を建設していた。 人工知能の研究や都市サービスの検…
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空白の二十分|現実のニュースをアークシティへ
黒崎玲が見つけた二十分は、どの部門の記録にも入っていなかった。 アークシティでは、一か月前から〈在宅移行支援〉の試験運用が始まっていた。 治療を終えた市民を、医療施設から住居まで搬送する。玄関で生活支援員へ引き続ぎ、服薬確認や食事の準備、夜…
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地図にない進路|現実のニュースをアークシティへ
公開まで、あと二時間だった。 アークシティの新しい進路地図には、途切れた線が一本もなかった。 学校で学ぶ内容から、職業訓練校の課程、企業の実習枠、その先の仕事まで、すべてが線で結ばれている。 設備保守、医療支援、物流管理、環境整備、都市デー…
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安い棚までの距離|現実のニュースをアークシティへ
開店まで、あと三時間だった。 新しい市営食料品店の棚には、青白い価格表示が並んでいた。 野菜、肉、乳製品、保存食品。暮らしに欠かせない品を、都市が仕入れ費用の一部を負担し、通常より安く販売する。 食料品の値上がりから市民の暮らしを守るため、…
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収穫の条件|現実のニュースをアークシティへ
収穫の条件 臨時使用許可の申請画面で、一つだけ決まっていない項目があった。 薬剤の影響で損失が出たとき、誰が補償するのか。 アークシティ外縁の果樹栽培区では、葉の汁を吸う小さな虫が斑枯れという病気を広げていた。病気にかかった木は葉脈が褐色に…
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先に出る区画|現実のニュースをアークシティへ
最初に避難指示が出たのは、アークシティ西端の住宅区画だった。 その東隣にある内側区画には、反対の通知が届いた。 〈建物から出ず、外気遮断を維持してください〉 二つの区画から見える空は、同じ色をしていた。 西側環境保全帯で発生した火災は、都市…
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空へ出る前の道|現実のニュースをアークシティへ
新型エアロシャトルは、予定どおり空を飛んだ。 問題が見つかったのは、地上へ戻ってからだった。 外縁連絡ターミナルの第三乗降区画へ機体が接続される。銀灰色の車体下部から充電端子が伸び、床面の受電設備と結ばれた。 青白い充電表示が点灯する。 同…
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答えの前の一時間|現実のニュースをアークシティへ
小さな材料研究所に与えられた演算時間は、一時間だった。 開始から十二分で、解析は止まった。 都市演算統制局の共同研究演算区画。その中央画面に、短い通知が表示されている。 ――三つの記録を、同一の損傷分類へ対応させられません。 研究所が調べよ…
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