STORY / BLACK VELOCITY

BLACK VELOCITY: Civil Threshold Episode 7 制限の街で、誰を守るのか

港湾区からネオン地区にかけて、人の流れが少しずつ外へ押し出されていく。

事故を防ぐための制限は、やがて暮らしそのものの形を変えはじめる。

そのとき問われるのは、都市を守ることと、人を消さないことが本当に両立できるのか、という一点だった。

澪が言う。

「これ、隔離に近い」

仁は答える。

「危険を削っている」

玲はスクリーンに映る街を見ていた。

そこには無数の生活がある。
帰り道がある。
予定がある。
まだ戻れるはずの人がいる。

「都市は残さなければならない」

仁が言う。

玲は返す。

「人は?」

「迷えば、事故になる」

仁の声は揺れない。

玲はゆっくり息を吐いた。

都市を止めるためにいるわけではない。
だが、人を消すためにいるわけでもない。

「澪」

「うん」

「まだ間に合うか」

澪は画面を見て、短く頷いた。

「たぶん。完全には無理でも、戻せるところはある」

仁が一歩進む。

「やめろ」

玲は振り向かない。
ただ、言う。

「揺らぎを背負う」