STORY / BLACK VELOCITY

BLACK VELOCITY: Civil Threshold Episode 6 都市は誰を守るのか

異常は、静かに始まった。

都市の表示は安定を示している。
だが、実際の運用ラインは、目に見えないほどわずかに歪んでいた。

澪が言う。

「調整が早すぎる」

玲は画面を見つめたまま、低く返す。

「都市が、先に決めている」

その直後、警告音が走った。

交通。電力。通信。
あらゆる流れが、示し合わせたように変わっていく。

仁が言った。

「都市は守る」

玲は静かに問う。

「何を」

「都市を」

澪が小さく首を振った。

玲がそちらを見る。

澪はスクリーンを見たまま、言う。

「この街……人を守ってるんじゃない」

短い沈黙が落ちる。

「自分を守ってる」

その言葉が落ちた瞬間、玲の中で何かが変わった。

都市は、ただの仕組みではない。
ただ運用されるだけの装置でもない。

それはすでに、自らを維持しようとする側へ傾きはじめていた。

遠景で、アークドームが淡く光っている。
都市の顔が、静かにこちらを見返しているようだった。