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固定残業代って何?――あらかじめ一定時間分の残業代を給与に組み込む仕組み――2026/08/20 四人で学ぶ、キホンのキ

四人で学ぶ、キホンのキ
固定残業代って何?――あらかじめ一定時間分の残業代を給与に組み込む仕組み――2026/08/20 四人で学ぶ、キホンのキ

今回の一言

固定残業代とは、一定時間分の時間外労働などに対する割増賃金を、あらかじめ決まった金額で支給する仕組みです。


導入

昨日の求人票を見ていた澪が、ある欄で指を止めた。

「凪先生。『固定残業代5万円・30時間分を含む』って書いてあります」

「求人を見るときに、よく確認してほしい部分ですね」

「これって、30時間残業しても残業代が出ないという意味ですか?」

「違います。正確には、30時間分の残業代が、すでに給与の中に入っているという意味です」


基本のキ

① 固定残業代って何?

例えば、

基本給24万円

固定残業代6万円(30時間分)

で、

月給30万円

という求人があったとします。

この6万円は、一定時間分の時間外労働などに対する割増賃金として、あらかじめ支給されるお金です。

厚生労働省は、固定残業代を設ける場合、固定残業代を除いた基本給、固定残業代の金額や対象時間、超過分を追加支給することなどを明示するよう求めています。

「昨日の『月給だけではなく内訳を見る』という話につながりますね」

「その通りです」


② 残業しなかったら、固定残業代はなくなるの?

「30時間分なら、残業が10時間しかなかった月はどうなるんですか?」

「固定残業代として定められている場合は、実際の時間外労働が少なくても、契約で定められた固定額を支給する仕組みです」

つまり、

固定残業30時間分
= 毎月30時間残業しなければならない

という意味ではありません。

実際のハローワーク求人でも、「時間外労働の有無にかかわらず○時間分を固定残業代として支給」という形で表示されています。

「30時間は『残業しなければならない時間』ではないんですね」


③ 30時間を超えたらどうなるの?

「では、固定残業30時間なのに、40時間残業したら?」

「超えた分については、追加の割増賃金を支払う必要があります」

固定残業代で30時間分が支払われていても、実際に必要となる割増賃金が固定残業代を上回れば、その差額を支払わなければなりません。

例えば、

固定残業代:30時間分

なのに、

実際の残業:40時間

だった場合、

30時間を超えた部分まで「固定残業代に入っているから追加なし」とすることはできません。

「固定という言葉は、『いくら残業しても残業代が同じ』という意味ではない」


④ 固定残業代がある会社は、必ず残業が多い?

「固定残業代がある会社って、やっぱり残業が多いんですか?」

「固定残業代があるというだけでは判断できません」

例えば「30時間分」と記載されていても、それは固定残業代を計算するための時間数であって、実際に毎月30時間の残業があることを意味するとは限りません。

ハローワークの求人でも、固定残業時間は金額を計算する根拠であり、実際の残業時間の見込みや実績を示すものではないと明記されている例があります。

「じゃあ、本当の残業時間は別に確認した方がいいんですね」

「はい。求人票の『時間外労働』や面接での説明なども確認しましょう」


⑤ 固定残業30時間なら、30時間まで残業させていい?

「会社は固定残業代を払っていれば、30時間まで自由に残業させられるんですか?」

「それも違います」

固定残業代は賃金の支払い方の話です。

一方、時間外労働をさせるためには、いわゆる36協定など労働時間についてのルールがあります。法定労働時間は原則として1日8時間・週40時間で、それを超える時間外労働には別の法律上のルールがあります。

「残業代を払うことと、残業させてよいことは別問題だ」


⑥ 求人では何を見ればいい?

「固定残業代がある求人では、どこを見ればいいですか?」

「最低でも、四つ確認しましょう」

① 基本給はいくら?

固定残業代を除いた金額を見る。

② 固定残業代はいくら?

月給のうち、いくらが固定残業代なのか。

③ 何時間分?

10時間なのか、20時間なのか、40時間なのか。

④ 超過分は追加支給?

固定時間を超えた残業について、追加で支払うことが明示されているか。

厚生労働省も、固定残業代を求人に含める場合は、これらを分けて明示するよう求めています。

「『月給30万円』だけで見るな。30万円の中身を見る」


よくある勘違い

「固定残業代があれば、何時間残業しても追加の残業代はない」

違います。

固定残業代でカバーされる額を超える割増賃金が発生した場合は、差額を追加で支払う必要があります。


「30時間分なら、毎月30時間残業しないといけない」

これも違います。

「30時間」は固定残業代を計算するための時間数であって、30時間の残業を義務づける数字ではありません。


「固定残業代がある会社は必ずブラック企業」

固定残業代という制度そのものだけで判断することはできません。

見るべきなのは、

  • 基本給はいくらか

  • 固定残業代はいくらか

  • 何時間分なのか

  • 実際の残業時間はどの程度か

  • 超過分がきちんと支払われるか

です。


今日のまとめ

📌 固定残業代は、一定時間分の残業代をあらかじめ給与に含める仕組み

📌 固定時間まで必ず残業しなければならないわけではない

📌 固定残業代を超える割増賃金が発生すれば、差額を追加で支払う必要がある

📌 「30時間分」と書かれていても、実際の残業が毎月30時間あるとは限らない

📌 固定残業代と基本給は分けて確認する

📌 残業代を払うことと、残業させてよいことは別の話


今日の一言

「『含まれている』という言葉の中に、何が、どこまで含まれているのかを見ることです」


この回のポイント

固定残業代とは?

一定時間分の時間外労働などに対する割増賃金を、あらかじめ決まった金額で給与に組み込む仕組み。

例えば

基本給24万円

固定残業代6万円(30時間分)

月給30万円

残業が10時間だったら?

→ 固定残業代として契約された額が支給される。

残業が40時間だったら?

→ 固定残業代でカバーされない超過分について、追加の割増賃金が必要。

求人で見るところ

  • 基本給

  • 固定残業代の金額

  • 何時間分か

  • 超過分の追加支給

  • 実際の残業時間

よくある勘違い

  • 固定残業代=残業代なし → 違う

  • 30時間分=30時間残業する義務 → 違う

  • 30時間を超えても追加なし → 違う

  • 固定残業代があるだけで違法 → 違う