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みなし労働時間って何? 本当に働いた時間と何が違うの?――実際の時間とは別に、「この時間働いた」として計算する――2026/09/06 四人で学ぶ、キホンのキ

四人で学ぶ、キホンのキ
みなし労働時間って何? 本当に働いた時間と何が違うの?――実際の時間とは別に、「この時間働いた」として計算する――2026/09/06 四人で学ぶ、キホンのキ

今回の一言

みなし労働時間とは、一定の条件を満たす働き方について、実際に何時間働いたかとは別に、決められた時間を働いたものとして扱う仕組みです。


導入

昨日、裁量労働制について聞いた澪が、ノートを見返していた。

「凪先生。昨日『8時間働いたものとみなす』って出てきましたよね」

「はい」

「でも、本当は10時間働いているのに8時間ってことにしていいんですか?」

「そこだけ聞くと、不思議に感じますよね」

「『実際に何時間働いたか』と『法律上、何時間として計算するか』を分けて考える必要がある」


基本のキ

① 「みなし」ってどういう意味?

例えば、ある制度で、

1日のみなし労働時間は8時間

と決められていたとします。

対象となる働き方については、

実際に6時間だったとしても、

8時間働いたものとして扱う。

実際に10時間だったとしても、

基本的には、

8時間働いたものとして扱う。

これが「みなし」の考え方です。

「実際の時間を、そのまま給与計算などに使うとは限らないんですね」

「そうです。ただし、誰にでも自由に使える仕組みではありません」


② どうしてそんな制度があるの?

「普通に実際の時間を数えればいいんじゃないですか?」

「基本はそうです」

ただ、仕事によっては、

会社の外で働いていて、労働時間を正確に算定することが難しい

場合があります。

また昨日の裁量労働制のように、

仕事の進め方や時間配分を本人に大きく任せることが適している

仕事もあります。

そこで一定の条件を満たす場合に、「決められた時間働いたものとする」という仕組みが認められています。


③ みなし労働時間制には何があるの?

大きく分けると、みなし労働時間制には3つあります。

① 事業場外みなし労働時間制

会社の外で仕事をしていて、労働時間を算定することが難しい場合に使われる制度。

② 専門業務型裁量労働制

一定の専門的な業務で、仕事の進め方や時間配分を本人に大きく任せる制度。

③ 企画業務型裁量労働制

企業の企画・立案・調査・分析など、一定の条件を満たす業務に使われる制度。

厚生労働省も、この3つを「みなし労働時間制」として整理しています。

「昨日勉強した裁量労働制も、みなし労働時間制の仲間なんですね」

「そうです」


④ 外で働けば、全部みなしになるの?

「営業で外回りをしていたら、みなし労働時間になるんですか?」

「いいえ。それだけではなりません」

事業場外みなし労働時間制が使えるのは、会社の外で働いているだけでなく、労働時間の算定が難しい場合です。

例えば、

  • 上司から随時具体的な指示を受けている

  • 労働時間を管理する人と一緒に働いている

  • 訪問先や帰社時間などが具体的に決められている

など、実際の労働時間を把握できる状況なら、単に「外勤だから」という理由だけで適用できるわけではありません。

「外で働くことと、時間が分からないことは別だ」


⑤ 10時間働いても、本当に8時間分しか扱われない?

「やっぱりここが気になります。実際には10時間働いたのに、みなし8時間なら全部8時間なんですか?」

「制度によって考え方が違うので、単純に『どんな場合でも8時間』とは言えません」

例えば事業場外みなし労働時間制では、その仕事をするために通常、所定労働時間を超える時間が必要なら、その業務に通常必要な時間を働いたものとして扱う仕組みがあります。

つまり会社が、

「実際は長時間働いているけれど、全部8時間ということにしておこう」

と自由に決められる制度ではありません。

「『みなし』だから何でも好きに時間を決められるわけではないんですね」


⑥ みなし労働時間なら残業代はなくなる?

「じゃあ、みなし労働時間制なら残業代は出ないんですか?」

「それも違います」

例えば、みなし労働時間を1日9時間と定める場合には、法定労働時間の8時間を超える部分について、36協定や割増賃金のルールが関係します。

また、裁量労働制でも、

深夜労働

法定休日労働

に関するルールまでなくなるわけではありません。

「『みなし』と『残業代なし』は同じ意味ではない」


⑦ 実際の労働時間は、もう関係ないの?

「みなし時間を使うなら、会社は本当に働いた時間を知らなくてもいいんですか?」

「そう考えるのは危険です」

特に裁量労働制では、健康を守るための措置が必要です。

また、

深夜に働いたか

法定休日に働いたか

など、実際の勤務状況が重要になる場面もあります。

「計算ではみなし時間を使っても、現実にどれだけ働いているかまで消えるわけじゃないんですね」

「その通りです」

「帳簿上の8時間が、現実の長時間労働まで8時間に変えるわけではない」


よくある勘違い

「みなし労働時間=実際に働いた時間」

違います。

実労働時間

みなし労働時間

は別のものです。


「外回りの営業なら自動的にみなし労働」

違います。

事業場外みなし労働時間制には、労働時間を算定し難いことなどの条件があります。


「みなし労働時間制なら残業代は出ない」

これも違います。

みなし時間の長さや、深夜・法定休日の勤務などによって、割増賃金が必要になることがあります。


「みなし8時間なら、実際に何時間働いても8時間だから問題ない」

違います。

制度には適用条件がありますし、実際の長時間労働による健康への影響までなくなるわけではありません。


今日のまとめ

📌 みなし労働時間は、実際の時間とは別に「一定時間働いた」として扱う仕組み

📌 みなし労働時間制には、大きく3種類ある

📌 事業場外みなし・専門業務型裁量労働制・企画業務型裁量労働制がある

📌 外で働くだけでは、事業場外みなし労働時間制にはならない

📌 「みなし」だから会社が好きな時間を設定できるわけではない

📌 みなし労働時間制でも、割増賃金が必要になる場合がある

📌 みなし時間と実際の労働時間は同じものではない


今日の一言

「時間を『みなす』ことは、実際に働いた時間まで消すことではありません」


この回のポイント

みなし労働時間とは?

一定の条件を満たす働き方について、実際の労働時間とは別に、決められた時間を働いたものとして扱う仕組み。

例えば

みなし労働時間が、

8時間

なら、対象となる制度では労働時間の計算上、

8時間働いたものとして扱う

という考え方をします。

主な種類は?

事業場外みなし労働時間制

専門業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制

外勤なら使える?

外勤というだけでは使えません。

事業場外みなし労働時間制では、労働時間を算定することが難しいことなどが必要です。

残業代は?

「みなし=残業代なし」ではありません。

みなし時間が法定労働時間を超える場合や、深夜・法定休日に勤務する場合などには、割増賃金のルールが関係します。

覚え方

実労働時間
→ 本当に働いた時間

みなし労働時間
→ 法律上の労働時間計算で、働いたものとして扱う時間

よくある勘違い

  • みなし時間=実際の時間 → 違う

  • 外勤なら全部みなし → 違う

  • みなし労働なら残業代なし → 違う

  • みなし8時間なら何時間働いても問題ない → 違う