今回の一言
生活保護とは、生活に困った人の最低限度の生活を保障し、自立を支える制度です。
導入
社会保険について調べていた澪が、ふと疑問を口にした。
澪
「凪先生、健康保険や年金は、普段から保険料を払って備える仕組みでしたよね」
凪
「はい」
澪
「では、仕事や貯金を失って、本当に生活できなくなったらどうするんですか?」
凪
「そのときに暮らしを支える制度の一つが、生活保護です」
仁
「生きていくための最低限まで失わせない。そのための制度だ」
基本のキ
① 生活保護って何?
凪
生活保護は、生活に困窮している人に必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を支える制度です。
澪
「自立って、仕事を見つけることですか?」
凪
「それだけではありません」
厚生労働省は、就労による経済的な自立だけでなく、自分で日常生活を送れるようになることや、社会とのつながりを回復・維持することも「自立」に含めています。
② いくらもらえるの?
澪
「生活保護になったら、全員が同じ金額をもらうんですか?」
凪
「いいえ」
世帯の人数や年齢、住んでいる地域などから計算される最低生活費と、その世帯の収入を比べます。
収入が最低生活費に届かない場合、その不足する分が保護費として支給されるのが基本です。
イメージすると、
生活に必要とされる額 − 世帯の収入 = 支給される保護費
です。
澪
「何も収入がない人だけの制度ではないんですね」
凪
「そこが大切です」
③ 働いていたら受けられないの?
澪
「少しでも働いていたら、生活保護は受けられないんですか?」
凪
「そうとは限りません」
働いて収入があっても、その世帯の収入が基準となる最低生活費に満たなければ、不足分について保護が適用される場合があります。
澪
「『働いているか、いないか』だけで決まるわけではないんですね」
凪
「はい。世帯の収入と、必要な生活費を比べて判断します」
④ 何を支えてくれるの?
凪
生活保護は、生活費だけを渡す制度ではありません。
必要に応じて、8種類の「扶助」があります。
例えば、
-
生活扶助……食費、衣類、光熱水費など
-
住宅扶助……家賃など
-
教育扶助……義務教育に必要な学用品など
-
医療扶助……必要な医療
-
介護扶助……必要な介護サービス
-
出産扶助
-
生業扶助……就労に必要な技能習得など
-
葬祭扶助
があります。
澪
「生活そのものを、いくつかの面から支えるんですね」
凪
「必要な扶助を、その世帯の状況に応じて組み合わせます」
⑤ 貯金や家があったら申請できないの?
澪
「でも、少し貯金があったり、家を持っていたりしたら申請できないんですよね?」
凪
「そこも、単純には言えません」
生活保護では、利用できる預貯金や生活に使っていない不動産などを、まず生活のために活用することが原則です。年金や手当など、利用できる他の制度があれば、それらも先に活用します。
ただし、持ち家があるだけで申請できないわけではありません。 居住用の持ち家については、保有が認められる場合もあります。自動車などについても例外があります。
仁
「『何か持っているから駄目』と、自分だけで結論を出すべきではない。事情によって判断は変わる」
⑥ 家族に頼んでからでないと申請できない?
澪
「親や子ども、きょうだいに頼れと言われるんじゃないですか?」
凪
「親族から援助を受けられる場合は、その援助が生活保護より優先されます。ただし、同居していない親族へ相談してからでなければ申請できない、という制度ではありません」
必要な書類がすべて揃っていなくても申請はできますし、住む場所がない人でも申請できます。相談・申請の窓口は、地域を担当する福祉事務所です。
澪
「『家族に頼れないから申請もできない』ということではないんですね」
よくある勘違い
「生活保護は、働いていない人だけの制度」
凪
違います。
働いていても、世帯の収入が最低生活費に届かなければ、不足分について生活保護の対象になる場合があります。
「家や車を持っていたら、相談することもできない」
これも違います。
資産を生活のために活用することが原則ですが、持ち家や自動車などにも、事情によって保有が認められる場合があります。
「生活保護は、ただお金を渡す制度」
凪
生活費だけでなく、住宅、医療、介護、教育など、生活を立て直すために必要な支援があります。
仁
「目的は、人を制度に留めることではない。生活そのものが崩れないよう支えることだ」
今日のまとめ
📌 生活保護は、最低限度の生活を保障し、自立を支える制度
📌 世帯の収入が最低生活費に足りない場合、その不足分を支えるのが基本
📌 働いていても対象になる場合がある
📌 生活費だけでなく、住宅・医療・介護・教育なども支援の対象になる
📌 持ち家などがあっても、一律に申請できないわけではない
📌 親族へ相談してからでなければ申請できない、という制度ではない
今日の一言
玲
「助けを求める場所が残っていることも、社会を支える仕組みの一つです」
この回のポイント
生活保護とは?
生活に困った人の最低限度の生活を保障し、自立を支える制度。
どんな仕組み?
最低生活費
↓
世帯の収入を差し引く
↓
不足する分を生活保護で支える
何を支える?
-
生活費
-
住宅
-
教育
-
医療
-
介護
-
出産
-
就労に必要な支援
-
葬祭
よくある勘違い
-
働いていたら絶対に受けられない → 違う
-
持ち家があれば申請できない → 一律には言えない
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家族へ相談してからでないと申請できない → 違う
-
生活費だけを支給する制度 → 違う
