今回の一言
出張先でも、休日に会社の指示で仕事をすれば労働時間になります。ただし、35%以上の休日割増が必要になるのは、原則として「法定休日」に働いた場合です。
導入
出張先で土曜日を迎えた澪が、ホテルで予定表を確認していた。
澪
「凪先生。今日は会社では休みの日なんですけど、午後から取引先との打ち合わせが入りました」
凪
「では、今日は出張先で仕事をするんですね」
澪
「休日に働くなら、休日出勤で35%増しですよね?」
凪
「ここは二つに分けて考えます。休日に働いたかと、その休日が法定休日なのかです」
仁
「会社が休みと決めた日が、すべて法律上の法定休日とは限らない」
基本のキ
① 出張先でも仕事をすれば労働時間?
凪
まず基本です。
出張先であっても、
-
取引先と打ち合わせをする
-
現地で作業する
-
会社の指示で資料を作る
-
会議に参加する
など、会社の指示で仕事をしていれば、その時間は労働時間です。
澪
「会社の建物にいなくても同じなんですね」
凪
「はい。昨日と同じで、場所ではなく、会社の指揮命令下で仕事をしているかを見ます」
② 「休日出勤」って何?
澪
「じゃあ、会社が休みの日に働けば休日出勤ですよね?」
凪
「日常的にはそう呼ぶことがあります」
ただし法律上の割増賃金を考えるときは、
その休日が何という種類の休日なのか
を確認する必要があります。
大きく分けると、
法定休日
と、
法定休日以外の会社の休日
があります。
③ 法定休日って何?
凪
労働基準法では会社に、原則として、
毎週少なくとも1日の休日
または、
4週間を通じて4日以上の休日
を与えることを求めています。
この法律上確保しなければならない休日が法定休日です。
澪
「例えば土日休みの会社でも、土曜日と日曜日の両方が法定休日とは限らないんですか?」
凪
「その通りです」
④ 土日休みなら、どちらが法定休日?
凪
例えば、
土曜日・日曜日が会社の休日
で、
会社が、
日曜日を法定休日
としているとします。
すると、
日曜日
法定休日
土曜日
会社では休みでも、法律上は法定休日以外の休日
ということがあります。
澪
「同じ『会社が休みの日』でも違うんですね」
仁
「カレンダーの見た目ではなく、会社がどの日を法定休日としているかを見る」
⑤ 法定休日に働いたら?
澪
「日曜日が法定休日で、出張先で仕事をしたら?」
凪
「法定休日労働になります」
法定休日に労働させた場合には、原則として通常の賃金に対して、
35%以上
の休日割増賃金が必要です。
例えば通常の1時間分の賃金が1,500円なら、
1,500円 × 1.35 = 2,025円以上
という考え方です。
澪
「これが『休日は35%増し』の正確な意味なんですね」
⑥ 土曜日に働いたら35%増しじゃないの?
澪
「では、土曜日が会社の休みでも、法定休日じゃなかったら?」
凪
「法律上、土曜日に働いたという理由だけで35%以上になるわけではありません」
ただし、その労働によって、
週40時間
という法定労働時間を超える場合には、超えた部分について原則25%以上の時間外割増が必要になります。
例えば、
月~金で40時間働いた
そのうえで、
土曜日に5時間働いた
なら、土曜日の5時間は原則として週40時間を超える時間外労働になります。
澪
「35%ではなく、25%の時間外労働になる場合があるんですね」
凪
「はい。ただし会社独自に、法定休日以外の休日にも35%などを支払う規定を設けている場合はあります」
⑦ 出張中なら休日のルールは変わる?
澪
「でも出張中ですよ。普段の職場とは違いますよね?」
凪
「出張だから休日のルールがなくなるわけではありません」
出張先でも、
法定休日に働いた
のであれば、休日労働として扱います。
また、会社が法定休日に働かせるには、原則として36協定による休日労働の定めと届出も必要です。
仁
「出張は、労働時間や休日の規制から外れる制度ではない」
⑧ 法定休日に10時間働いたら、8時間を超えた部分はさらに25%?
澪
「法定休日に10時間働いたら、8時間を超えた2時間は35%+25%ですか?」
凪
「ここも間違えやすいところです」
法定休日の労働については、その日に8時間を超えても、
休日労働35%以上+時間外25%以上
と二重に加算するわけではありません。
法定休日の労働として、原則35%以上の休日割増が適用されます。
澪
「法定休日の中では、8時間を超えたらさらに25%、ではないんですね」
⑨ 夜10時を過ぎたら?
澪
「休日の仕事が夜11時まで続いた場合は?」
凪
「22時から翌5時は深夜労働です」
法定休日労働と深夜労働が重なる場合、
休日35%以上
+
深夜25%以上
で、
60%以上の割増
が必要です。
仁
「休日と深夜は、別の理由による割増だから重なる」
⑩ 休日に移動しただけなら?
澪
「昨日みたいに、休日に新幹線で移動しただけなら?」
凪
「そこは昨日の話と同じです」
自由に過ごせる単なる出張移動で、労働時間に当たらないのであれば、
法定休日に移動しただけで休日労働になるわけではありません。
一方、
-
移動中に資料を作る
-
オンライン会議に出る
-
商品の運搬や監視をする
-
業務として車を運転する
など、実際に労働していれば別です。
澪
「休日に出張していることと、休日に働いていることは同じではないんですね」
凪
「その区別が大切です」
よくある勘違い
「会社が休みの日に働けば全部35%増し」
凪
違います。
35%以上の休日割増が法律上必要になるのは、原則として法定休日に働いた場合です。
「土日休みなら土日とも法定休日」
これも違います。
会社の休日が週2日あっても、そのうち一方だけが法定休日ということがあります。
「法定休日に10時間働けば、8時間を超えた部分は60%増し」
これも違います。
法定休日の労働については、8時間を超えたという理由だけで時間外25%が追加されるわけではありません。
「出張中の休日なら休日の法律は関係ない」
凪
違います。
出張先でも労働時間・休日・割増賃金の基本的なルールは適用されます。
今日のまとめ
📌 出張先でも実際に仕事をすれば労働時間になる
📌 会社が休みの日と法定休日は同じとは限らない
📌 法定休日は原則として毎週1日、または4週間で4日以上確保する休日
📌 法定休日に働けば原則35%以上の休日割増
📌 法定休日以外の休日は、働いただけで自動的に35%増しとは限らない
📌 法定休日以外でも、週40時間を超えれば時間外割増が必要になる場合がある
📌 法定休日に8時間を超えて働いても、時間外25%をさらに足すわけではない
📌 法定休日+深夜労働なら60%以上の割増
📌 休日に単に移動しただけなら、休日労働にならない場合がある
今日の一言
玲
「休日に働いたかだけではなく、その一日が法律上どんな休日だったのかを見ることです」
この回のポイント
出張先で休日に仕事をしたら?
労働時間になります。
ただし、割増賃金はその休日の種類によって変わります。
法定休日とは?
労働基準法で会社が確保しなければならない、
原則として週1日、または4週間で4日以上の休日。
法定休日に働いたら?
35%以上の休日割増
が原則として必要です。
会社の休日なら全部35%?
いいえ。
法定休日以外の休日なら、35%以上の休日割増が法律上自動的に発生するわけではありません。
ただし、週40時間を超えるなどすれば時間外割増が必要になる場合があります。
法定休日に10時間働いたら?
8時間を超えた部分に時間外25%を追加するのではなく、原則として休日労働の35%以上で扱います。
深夜まで働いたら?
法定休日35%以上+深夜25%以上
→ 60%以上
となります。
覚え方
「会社が休みの日?」
だけではなく、
「その日は法定休日?」
まで確認する。
よくある勘違い
-
会社の休日に働く=全部35%増し → 違う
-
土日とも法定休日 → とは限らない
-
法定休日に8時間超=35%+25% → 違う
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出張中なら休日ルールなし → 違う
