今回の一言
出張中の食事代を会社が必ず全額負担すると一律に決まっているわけではありません。実費精算するのか、日当に含めるのか、本人負担にするのかは、会社の旅費規程などによって異なります。
導入
出張先のホテルで朝食を取っていた澪が、領収書を見ながら首をかしげた。
澪
「凪先生。出張中なんだから、この朝ごはん代も会社に請求できますよね?」
凪
「必ず請求できるとは限りません」
澪
「仕事で家を離れているのに?」
凪
「はい。交通費や宿泊費と、普段から必要になる食事代では、会社の扱いが違うことがあります」
仁
「『出張中に払ったお金』が、すべて出張経費になるわけではない」
基本のキ
① 出張中の食事代は誰が払うの?
凪
これは会社によって違います。
例えば、
A社
食事代は本人負担
B社
食事代を含むものとして出張日当を支給
C社
一定額まで食事代を実費精算
D社
宿泊費に含まれている朝食は宿泊費として会社負担
というように、さまざまな決め方があります。
澪
「『出張なら食事代は会社』という共通ルールではないんですね」
凪
「そうです。まず会社の旅費規程を確認します」
② どうして食事代は自己負担になることがあるの?
澪
「でも、出張しなければ外で食べなくてもよかったかもしれませんよね?」
凪
「そういう面もあります。ただ、食事そのものは出張していなくても必要になります」
普段の勤務日でも、
朝食・昼食・夕食
は取りますよね。
そのため会社によっては、
通常の食事代は個人の生活費
として、出張旅費とは分けて考えます。
一方で、出張によって普段より費用が増えることなどを考え、日当を支給する会社もあります。
澪
「だから昨日まで出てきた『出張日当』があるんですね」
凪
「日当の使い道や目的は会社によりますが、そうした出張中の負担を考慮する制度の一つです」
③ 日当が出れば、食事代もそこから払うの?
澪
「日当3,000円が出る会社なら、食事代はそこから払うんですか?」
凪
「それも旅費規程によります」
例えば会社が、
日当には出張中の食事などの細かな費用も含む
と決めていれば、食事代を別に精算しないことがあります。
逆に、
日当とは別に食事代を一定額まで支給する
会社もあります。
仁
「日当が何を補うためのお金なのか。それを確認する必要がある」
④ ホテルの朝食付きプランなら?
澪
「ホテル代に朝食が最初から入っている場合は?」
凪
「その場合、宿泊料金の中に朝食が含まれている形ですね」
例えば会社が、
1泊12,000円まで宿泊費を支給
としていて、
朝食付き11,000円
のホテルを利用した場合。
会社の規程で認められていれば、そのまま宿泊費として精算することがあります。
ただし、
朝食代だけ除かなければならないのか
など、細かな扱いは会社の規程によります。
澪
「ホテルに付いている朝食と、自分で外のお店に入った昼食でも扱いが違うことがあるんですね」
⑤ 取引先との食事は?
澪
「では、取引先と打ち合わせを兼ねて夕食を食べた場合は?」
凪
「これは普通の自分の食事とは別に考える場合があります」
例えば、
-
取引先との会食
-
商談を兼ねた食事
-
会社から参加を指示された会食
など、食事そのものが業務と密接に関係している場合です。
会社の経費規程に従い、
会議費や交際費などとして会社が負担
する場合があります。
澪
「『夕食だから自腹』と一律に決まるわけではないんですね」
凪
「そうです。何のための食事なのかを見ます」
⑥ 一人で食べた夕食なら?
澪
「出張先で一人で普通に夕食を食べた場合は?」
凪
「これは会社の旅費規程次第ですが、本人負担とする会社もあります」
例えば、
仕事を終えた後に、
自分で店を選び、自分のために夕食を取る
のであれば、通常の生活上の食事として扱う考え方があります。
一方で、
1食○円まで支給
などの制度を設けている会社なら、その範囲で精算できることもあります。
仁
「出張先で支払ったというだけで判断しない。会社の規程と、その支出の目的を見る」
⑦ 食事代を会社が払ったら、税金はかかる?
澪
「会社が食事代を出してくれたら、それも給料として課税されますか?」
凪
「出張旅費として通常必要と認められる範囲なら、給与として課税されない場合があります」
国税庁は、出張などのための旅費について、その旅行について通常必要と認められるものは給与として課税しない扱いとしています。
また、国内出張で支給する出張旅費・宿泊費・日当などについても、通常必要と認められる部分を出張に必要な支出として扱っています。
澪
「会社が出したお金なら全部給料、というわけではないんですね」
凪
「はい。ただし、何でも『出張費』という名前にすれば非課税になるわけではありません」
⑧ 高い食事なら何でも会社に請求できる?
澪
「じゃあ出張中なら、高級レストランでも会社に請求できますか?」
凪
「もちろん、そういう意味ではありません」
会社の規程で、
食事代は1食2,000円まで
などと上限を決めることもできます。
また税務上も、出張旅費などについて非課税となる考え方は、
その旅行について通常必要と認められる範囲
が前提です。
仁
「出張は、私的な支出を自由に会社へ付け替える制度ではない」
⑨ 領収書は必要?
澪
「会社が食事代を出してくれるなら、領収書は必要ですか?」
凪
「実費精算なら、会社が領収書などの提出を求めることがあります」
例えば、
食事代を1食2,000円まで実費精算
という制度なら、
領収書を提出し、実際に使った金額を精算する形が考えられます。
一方、
出張日当3,000円
のような定額支給なら、個々の食事について領収書を提出しない制度もあります。
国税庁も、実際にかかった費用に基づいて出張旅費等を精算するケースを想定しています。
澪
「実費なのか、定額の日当なのかでも違うんですね」
よくある勘違い
「出張中の食事は全部会社負担」
凪
違います。
食事代を本人負担にするか、日当で補うか、実費精算するかは会社によって異なります。
「出張中の食事は全部自腹」
これも一律ではありません。
会社が食事代を支給したり、宿泊費に朝食代を含めたりする場合があります。
「日当があっても食事代は必ず別にもらえる」
これも違います。
日当に食事代などを含めている会社もあります。
「出張なら高い食事でも全部経費」
凪
違います。
会社の旅費規程や、その出張について通常必要な範囲かどうかを確認します。
今日のまとめ
📌 出張中の食事代を会社が必ず全額負担するとは限らない
📌 食事代を本人負担とする会社もある
📌 出張日当に食事代などの負担を含める会社もある
📌 食事代を一定額まで実費精算する会社もある
📌 朝食付きホテルなどは宿泊費として扱われることがある
📌 取引先との会食など、業務そのものに関係する食事は別に扱われる場合がある
📌 出張旅費として通常必要な範囲なら、給与として課税されない場合がある
📌 最終的には会社の旅費規程・経費規程を確認する
今日の一言
玲
「同じ一食でも、自分の暮らしのためなのか、仕事のためなのかで、お金の意味は変わります」
この回のポイント
出張中の食事代は会社負担?
会社によります。
全国一律に、
出張中の食事はすべて会社負担
と決まっているわけではありません。
主な支給方法
本人負担
日当に含める
一定額まで実費精算
ホテルの朝食などを宿泊費として負担
などがあります。
日当がある場合は?
会社によっては、
食事など出張中の細かな負担を含めて日当を支給
することがあります。
その場合、食事代を別に精算しないこともあります。
取引先との会食は?
仕事として必要な会食なら、
通常の個人的な食事とは別の経費
として扱われる場合があります。
税金は?
出張旅費のうち、
その旅行について通常必要と認められるもの
は、原則として給与として課税されません。
領収書は?
実費精算
→ 求められる場合がある
定額の日当
→ 個々の食事の領収書を求めない制度もある
という違いがあります。
求人・会社の規程を見るなら
-
食事代は自己負担?
-
日当に含まれる?
-
食事代の上限は?
-
朝食付きホテルは認められる?
-
領収書は必要?
-
会食費はどう精算する?
まで確認する。
よくある勘違い
-
出張中の食事=全部会社負担 → 違う
-
出張中の食事=全部自腹 → 会社による
-
日当+食事代は必ず両方もらえる → 違う
-
出張なら何を食べても経費 → 違う
